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活躍する卒業生

早乙女周子先生(平成7年卒)

平成7年に薬学部薬学科を卒業後、大学院に進まれる。理化学研究所、三菱化学生命科学研究所で勤務された後、現在の京都大学に着任され知的財産マネジメントについてご研究をなさり現在に至る。
インタビュー動画を公開しました!(ページ下部)

卒業してから現在までのお話を聞かせてください
・・・
私は、東邦大学薬学部を卒業して大学院に進みました。修士課程の2年間で研究の面白さを再認識し、研究職に就きたいという希望がありました。それで、研究室の先生にご紹介いただき理化学研究所に就職し、その後三菱化学生命科学研究所に異動しました。その研究成果を元に東邦大学で博士号を取得することができました。京都大学で産学連携活動が本格化するのに伴い、知的財産マネジメントの人材養成プログラムを始めるので来てみないかと、当時の三菱化学生命科学研究所の責任者の方から声をかけていただきました。それまで知的財産というものを全く知りませんでしたが、京都大学で知的財産マネジメントに関する知識を学び、知的財産マネジメントの実務をすると同時に、京都大学で講義を担当するようになって、今年で15年目になります。

今後、取り組んでいきたいことはなんですか ・・・
時代の流れとともに医療の分野も変革のスピードが速いと感じています。例えば、法改正によってアプリが医療機器として承認されるようなデジタルヘルスという新しい分野が確立されて広がってきています。これからも新しい形の医療が出てくるのではないかと感じています。そのため、創薬に限らず、新しい医療を開拓するということにチャレンジしていく必要があると思っています。
例えば、病院などに集約された医療ビッグデータを使って、予防医療や個別医療に繋げていくことや、京都大学が注力しております「iPS細胞」等の再生医療という比較的新しいビジネスにどのように繋げるかということをふまえて、知的財産マネジメントを行なっていくことなどを考えています。


東邦大学での学生時代を振り返って見ると・・・
自分が教員になって痛感したのは、「教育」という学生を育てるということに関して、東邦大学の先生たちは本当に熱心であるということです。学生時代を振り返ってみても、普段からとても質問しやすい先生方でしたし、先生と学生のよい意味での近さを感じました。学生の考えを受け止め、それに対して的確できめ細かく指導をしてくださいました。薬剤師国家試験を受けること、合格することに対して、また実習についても丁寧なご指導に感謝しています。いわば、これは東邦大学の風土だと思っています。研究をしていく中で、教科書通りにいかなかったことに対して、先生方が固定観念に縛られず、何が起こったのかという事実を自分の目で見て考えて、そして論理的に結論を導き出すという思考プロセスの指導をしてくださり、それを身につけることができたからです。私は、そのおかげで、理化学研究所や生命科学研究所でテーマをひとつ任せてもらうことができ、First Author(筆頭著者)として学術論文を出すことができました。
創薬に興味がある学生に一言お願いします
新しい薬を創るというのは本当に素晴らしいことだと思いますし、とても意義深いと思っています。なぜなら、一つの薬がその方の人生を変えてくれることにつながるからです。ですから、皆さんが薬を創るということに興味を持つことは大変重要だと思います。
創薬には、基礎研究者として関わることもありますが、新しく開発された薬を臨床の現場で治験をする、あるいは臨床試験のコーディネートなどで薬剤師として関わることもできます。
創薬の課題のひとつは、効果を期待している患者さんにきちんと効く薬を届けることができるかということです。病気を知り、薬の成功確率を高めることが非常に重要なのですが、同じ病気の患者さんであっても、患者さんの体質はそれぞれ異なるため、薬の効果が出る方と出ない方がおられることがあります。そのような創薬に関わる中では、ちょっとしたことに「気がつく」という気付きが大事です。気づくことがあったらそれが何かの解決策になるかもしれません。気付きの感性は一朝一夕にはなりません。いろいろなことに対してアンテナを高くして様々な知識を得て、気づきの感性を高めていけば、よりよい医療を提供できるのではないかと思います。

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